経営理念について
- 藤井 浩行
- 2022年1月12日
- 読了時間: 2分
先日、ある企業様の研修がありました。研修対象者は、将来の幹部候補者の方々です。
そこで第1回目のセッションでは「経営理念」をテーマとしました。
「経営理念」は会社が何のためにこの地球上に存在するのか、その存在理由の事です。そして、一人一人の社員が行動を起こすときの基準となる、会社の価値観の事です。選択し進むべき方向を示すものなんですね。
僕は、企業理念は「生きている理念」と「死んでいる理念」があると考えています。

処事光明=フェアープレイに徹する
公明正大で品格のある行動を旨とし、活動の公開性、透明性を堅持する。
これはある企業の企業理念の一部です。
しかしこの企業は1999年当時、会社ぐるみで不正をして、当時の社長が逮捕される事態にまで発展しました。
そして同社は2016年にも製品の不正試験で不祥事が発覚しました。
この企業は東京証券取引所1部上場企業であり、世間的には一流企業と言われる会社です。
この企業に限らずその他にも近年、上場企業における不正事項、不祥事がたくさん明るみに出ています。
その企業の経営理念にも素晴らしい言葉が並んでいます。
社員一人一人が、経営理念を実践し活かしていたならば、不正や不祥事は起こっていなかったはずです。
理念を実践する事よりも、売上・利益、効率性、競合との競争などを優先した結果、そのようなことが起こったのです。
これは経営者の経営姿勢によります。そして上場企業の場合は株主の良識や理解に左右されると思われます。
不正や不祥事を起こすような会社では「経営理念」は死んでいたということでしょう。
「経営理念」は会社の憲法であり良心であると思います。
それをしっかりと実践することが社会への貢献であり、企業の存在理由だと考えます。
「理念経営」が徹底している会社では、もし社長や上司が「経営理念」に反することをしたら、部下や部署がそれを指摘し是正すると言うことが起きます。
それこそが「生きた経営理念」でしょう。
先日の研修セッションで「私は経営理念に共感をして、この会社を選びました」という社員がいました。彼女はしっかりと幹部候補生になっています。
「経営理念」は経営者の社員に対する宣言でもあります。まずは経営者が「経営理念」を生きることが大切ですね。
「経営理念」が明確でないという会社もたくさんありますが、経営者が会社の方向性をしっかりと文言化し共有し組織に浸透することは、重要な経営課題だと考えます。
さらに会社の「経営理念」が、働く一人一人の価値観と共通する部分が大きければ大きいほど、そこで働く人たちは幸せであり、結果として高い生産性、高業績が得られることでしょう。
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