コミュニケーションの結果は相手が決める
- 藤井 浩行
- 2021年12月26日
- 読了時間: 4分
最近、セッションの中でコミュニケーション不全についての課題が上がることが多いです。人間活動のすべては、コミュニケーションを介して行われると言っても過言ではないでしょう。だからこそ問題と思われることも多く発生するのだと思います。
「こう言ったつもりなのに伝わっていない」
「そんなつもりで言ってないのに、曲解して受け取られた」
このようなことが、度々起こるようです。
スムーズなコミュニケーションのためには、どんなことに気をつけたらよいのでしょうか。
僕が日ごろ意識していることが四つあります。
一つは、「相手の自己重要感を大切にする」ということです。
基本的に相手の人をコントロールすることはできません。(「脅す」とか「騙す」という不誠実な特殊なものはありますが)
自分が発したメッセージを、どのように受け取るかは相手次第なのです。
なのでメッセージを好意的・肯定的に受け取ってもらうためには日ごろからの信頼関係づくりが大切なのです。
そのためには「相手の自己重要感を大切にする」ことが重要と考えています。
人間には次の5つの本能的衝動があるといいます。
*生存本能
*群居衝動
*自己重要感
*性欲
*好奇心
そしてその中でもとりわけ重要なのが、自己重要感なのです。
生きると言う生存本能ももちろん重要なのですが、名誉のために死を選ぶ、などと言う例もあるくらい人間にとっては自己重要感が大切なのです。
相手の自己重要感を大切にするとは、相手の価値観を大切にすると言うことでもあります。
それにより、日ごろから信頼してもらえる人間関係を創ることを意識しています。
コミュニケーションの効果には、その場のテクニックというよりは、背景(床)となる日ごろの人間関係の影響が大きいと考えるからです。
強固な信頼があれば、メッセージを好意的・肯定的に捉えてくれます。
しかし信頼しきってもらっていないと、真意が伝わらない時があります。
まずは信頼につながるよう「相手を大切にする」「相手を尊重する」という「在り方」が大切だと考えます。

二つ目はスムーズなコミュニケーションを意識するということです。
心理学の一分野の「交流分析」で言われる「やりとり」に意識を持つのです。
私たちの自我の状態には5つあると言われます。
*批判的な親の自我状態…CP=クリティカル・ペアレント
*養育的な親の自我状態…NP=ナーチャリング・ペアレント
*成人(大人)の自我状態…A=アダルト
*自由な子の自我状態…FC=フリー・チャイルド
*適応した子の自我状態…AC=アダプテド・チャイルド
メッセージは、この5つの状態のどこからか発せられます。
そして、それに対する応答を発する自我状態を期待しています。
例えば、職場において月末の忙しい時に「先輩!今日、飲みに行きましょうよ~」などと言ってくる後輩がいたとします。
このメッセージは、自由な子のFCから発せられています。
応答を期待する自我状態は、「いいね!行こうか!」というFCです。
こんな時、いきなり「何バカなこと考えてるんだ。この忙しい状況がわかってないのか」などとCP(批判的な親)からの指導が始まったりすると、場がしらけますし反感から指導の効果も期待できません。
一旦、FCから「良いね。楽しそうだね」と受け取るのが良さそうです。
このようなコミュニケーションを「平行なやりとり」と言います。
二つ目に気をつけているのは、自我状態を意識し「平行なやりとり」をする、ということです。
しかし先輩としての立場として、今日は仕事を片づけることを指導する必要があります。
なので自分の自我状態を、理性的なA(成人の自我状態)にして「だが今日は月末で忙しいね。これを乗り切ったら行こうか」と冷静に返すと、後輩も納得しやすいのではないでしょうか。
三つ目は、メッセージの発信をできるだけA(成人)で行うことです。
Aは感情が出にくい自我状態ですので、相手からおかしな反応を引き出すリスクが減ります。
そして四つ目は、そこで起きている「プロセス」を見るということです。
コミュニケーションはコンテント(言語)とプロセス(起きているコト=非言語)によって行われていますが、言葉では表現されていないメッセージもあります。
それをしっかり「うけとる」ことが大事だと考えています。
自分のメッセージをどのように受け取るかは相手が決めるので、その結果を確認するにはコンテントだけでなくプロセスを見ておく必要があるのです。
コミュニケーションにおいて、僕が日ごろ気をつけているのは以下の四つのポイントです。
1.日ごろからの信頼関係づくり
2.メッセージの受信は「平行なやりとり」
3.メッセージの発信はA(成人)の自我状態
4.「プロセス」を見る
特に重要なのは、普段からの良好な人間関係づくりでしょう。
「スムーズなコミュニケーション」と言い換えることもできます。
これは、1対1のコミュニケーションだけでなく、組織内、チーム内のコミュニケーションにも応用できるでしょう。
お互いが、信頼し合い、スムーズなコミュニケーションができる組織の生産性は、そうでない組織に比べて高くなると考えられます。
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