「心理的安全性」
- 藤井 浩行
- 2022年5月15日
- 読了時間: 4分
今週はリモートで“「高生産性組織」の基盤”というセミナーをさせてもらいました。
google社の「プロジェクト アリストテレス」によって、生産性の高い組織には「心理的安全性(Psychological safety)」があることがわかりましたが、それについて僕の考えをまとめたものです。

以前、僕は“「自分が源泉」研修”という研修プログラムのファシリテーターをやっていましたが、その時に行っていたことは正に“場”に「心理的安全性」を創ることだったからです。
その研修は、1日目が10時から18時30分、2日目が9時30分から18時30分とまるまる二日間のリアル参加のプログラムです。
参加者とアシスタントで25名から30名ほどの規模の研修です。
参加者の方は、お互い初めて会う人がほとんどで最初はよそよそしいのですが、二日目が終わると旧知の仲のようにハグするような関係性が生まれます。
「この研修で人生が変わった」という人の声を何人も聞いていますし、まさしく僕自身が1992年に参加者として参加した時に人生が変わりました。それぐらいインパクトのあるプログラムです。
参加者同士のそのような関係性を創るために気を遣っていたのが「心理的安全性」です。
「心理的安全性」のことを、次のようにまとめることができると思います。
「チームメンバーがお互いにチームに対して気兼ねなく発言でき、安心して本来の自分をさらけ出せると感じられるような状態、環境、雰囲気」。
“「自分が源泉」研修”は、参加者は20歳くらいから65歳くらいまでの男女で、会社の経営者もいればアルバイトの人もいるような多様性のある集団です。(時々、小学生や中学生、高校生の参加者もいます)
その参加者が、1日目の後半には、「気兼ねなく発言する」「本来の自分をさらけ出す」ことができるようになります。
今でも印象に残っている場面があります。
それは、その会社のM社長がアシスタントで参加している時でした。
その会社で働いている人が何人か参加していましたが、その中の一人で、あるセクションのグループリーダー、Nさんがいました。
そのNさんが、参加者全員の前でシェア(発言)したのです。
「私はM社長のことが大嫌いでした!」
一瞬、場が静まり返りましたが、それほどまでにオープンにさらけ出せる場なのです。
Nさんは研修の中で、M社長の知らない一面を知り、自分が誤解していたことに気づいたのです。
そのシェアの後、NさんはM社長とハグしていました。
なぜ、そのようなことが起こる“場”が形成されるのでしょうか。
要因はたくさんあるのですが、一番大きなことは「気兼ねなく発言する」「本来の自分をさらけ出す」を実際に体験する機会がたくさんあるという事です。それは実習やゲームを通して行われます。
そしてそこで言ったこと、行動したことを周りの人は承認します。
つまり、何を言っても何をやっても、誰も批判せず否定せず全部受け取ってくれるという体験をすることになります。
私たちは普段「これは言ってはいけない」「これは言えない」という事がたくさんあります。
それを発言したら「どう思われるだろう」「嫌われないだろうか」「バカだと思われないだろうか」などという懸念や抵抗があるからです。
そのようなことを勇気をもってオープンにした時に、しっかり受け取ってもらうことができたら「ここまで言っても大丈夫なんだ」という経験になります。それが何回も繰り返されることで心理的安全性が醸成されます。
実際の職場では、「挑戦しても失敗したら怒られる」「ミスしたら低い評価をもらい、上司から嫌われる」「こんな意見を言ったらバカにされる」など、気兼ねなく発言したり、自分をさらけ出すといろんな危険があるのだ、と思っています。実際に本当にそうかどうかは別にして、そう思っている人がほとんどでしょう。
そこには遠慮、消極性、自己保身といったものが生まれるかもしれません。
そのような危険はないのだというメッセージを口で言っても、なかなか信じないでしょう。
実際に体験して初めて、納得できることではないかと思うのです。
ですから、もし職場に「心理的安全性」を創るのであれば、実際に何を言っても何をやってもOKという体験をしてもらうことが大切だと思います。
仕事の現場でいきなり実践するのは合理的でないかもしれないので、最初は研修のような場でトレーニングし、それを職場に持ち込むのが良いと思います。
“「高生産性組織」の基盤”というセミナーでは、そのプロセスを創るためのアイディアをお伝えしました。
これからも「経営者も働く人も幸せな会社づくり」をテーマに探究していきます。
Comments