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「完了」は人生のマスター


先日、研修の参加者の方と1on1をした時に、次のようなシェアとやり取りがありました。

「昨日の夜、子供がかまってきた時のことですが、とてもイライラしている時だったので『今、パパはイライラしているから後にしてくれる?』と言ったんですよ」

「で、どうなったの?」

「そうしたら、イライラがおさまって、その後すぐに子どもの相手をすることができたんです」

「あぁ~言葉にして表現したからクリアになったんだね」

「…これが完了ってことなんですね」


私たちは何かのきっかけで激しく「反応」することがあるようです。

ネガティブに見える出来事に対して、ネガティブな「反応」をするんですね。

そんな時はイライラしたりモヤモヤしたり、行き場のない「反応」が自分の中で暴れているようです。


そして、そのような「反応」は、「表現」をすることでおさまってくれるようです。

一番身近で手軽な表現方法は「言葉にする」ことでしょう。

反応している事を誰かに聴いてもらうことで解消することがあるようです。

それを「完了」と言い、そのために言葉で表現することを「クリアリング」と言っています。

ちなみに心理学の世界では、抑え込んでいた怒りや悲しみなどの感情を言葉や涙、表現行為として外に出すことで、心が浄化されスッキリした安堵感や心の軽さを得る心理的効果をカタルシス効果というそうです。


「完了」とは、何かに「囚われていない」状態のことです。

逆に囚われていることを「未完了」と言っています。


例えば10年前の事でも、思い出すたびに嫌な感情が甦ってくるようなことがありますが、そういった場合は、まだ未完了な状態なのでしょう。

そして、その反応をすぐに忘れてしまえるなら問題はないのですが、その事が頭から離れなくなって囚われているようなら「クリアリング」する必要があるかもしれません。

クリアリングをしたからと言って、問題が解決したり、二度と思い出さなくなるということはありませんが、一旦その反応から解放される(手放す)ことはできます。

反応に囚われている状態の時は、時間を無駄にしたり、エネルギーを無駄遣いしたり、集中力を欠いてパフォーマンスを落としたりしているわけですが、その事から解放されて「今・ここ」にエネルギーを集中することができるのです。


私たちが何か目標を立てて、その達成に向かって行動している時に、度々反応に囚われている状態が続くことは、目標達成にとって効果的ではないでしょう。

時間、体力、気力、資金など、私たちが持っているリソース(資源)には限界があります。

反応に囚われやすい人は、反応することにリソースを浪費して反応に囚われたまま一生を終えてしまうかもしれません。

リソースは目標達成のための効果的な行動に使いたいですよね。

少なくともネガティブな反応に囚われ続ける人生は「幸せ」ではないでしょう。


人生を幸せに過ごし目標を達成していくために「完了」の力をトレーニングすることは、とても有用だと考えています。


元来私たちは、刺激ー反応ー行動というプロセスで生きています。

体の水分が不足(刺激)すれば、「喉が渇いた」という反応が起き、冷蔵庫にペットボトルを取りに行く(行動)ことをするわけです。

嫌いな上司が近づいてきた(刺激)という出来事に対して「嫌いだ!」「怖い!」という考え(自己内会話)が頭に浮かび、恐怖(感情)を感じ、身体が緊張(身体的変化)し、回れ右をしてトイレに行く(行動)わけです。

これは無意識のうちに自動的に起こります。自分の生存を守るために必要な行動パターンだからです。

それによって危険を避け無難に毎日を過ごすことができるのです。


ここで言う自己内会話・感情・身体的変化が、すなわち「反応」です。

しかし自分の目標を達成するために企画を通したいような場合、いつもいつもこの上司を避けてトイレにこもっているわけにはいきません。


「トイレに行く」選択ではなく、意図した選択、つまり「企画書を提出する」行動を選択する必要があるのです。

企画書を提出するために、その嫌いな上司の机に向かおうとすると、それが刺激となり、またいろいろな反応が起こります。

「また小言を言われて突き返されるのかな」と自己内会話が起こり、恐怖心が起こり、表情が硬くなるわけです。

そして一方では反応を無視し「企画書を出さなきゃ」と自分にムチ打って無理をしている自分もいます。


しかし反応を無視しようとすればするほど、反応はやってきます。

反応を無くそう無くそうとすればするほど、反応は暴れて大きくなります。



この状態を「反応におぼれる」と言っています。

そしてパニックのまま、またいつもと同じような行動を選択することでしょう。

「今日はやめておこう!」


こんな時に「完了」のパワーを使うのです。

「完了」を使って「意図した行動」をするのは、次のようなプロセスになります。


1.反応している自分に「気づく」…「完了」の前提です

2.「完了」する

  これは「囚われ」の無い状態の事です。反応を手放して委ねるのです。

  そのために反応の居場所を創ってあげます。

  つまり反応に対して、それは「ある」と認めて「あっていい」という許可を降ろすことです。

「居て良い」と許可をもらった「反応」は暴れて自分の存在を主張する必要が無

くなりますからおとなしくなるようです。

「完了」とは「それはそれでいい」と反応にOKをだすことなんですね。

3.意図を創作する

「完了」すると心の中にスペースが生まれますから、そこに「意図」を創作します。

「こうする!」というコミットです。そしてその意図は、「こうなりたい」「こうしたい」という自分の理念やビジョンからくると更にパワフルです。

※満足した人生を送るために、理念やビジョンを明確にしておくことはとても重要です。

4.そして意図から「(新しい)行動」をします。

  新しい行動ですから、これまでの過去とは違った結果が生まれます。

  このことを「人生に『違い』を創る」と言っています。


「完了」の力を養うためにはトレーニングが必要です。

トレーニングとは大きな「反応」が起きる度に上記の1~4のプロセスを繰り返いし繰り返し実践するということです。


ところで僕は「反応」と「完了」には4つのレベルがあると考えています。

【レベル1】

「反応」に気づくだけて「完了」が起こり、リソース(エネルギーや時間などの資源)を「今・ここ」に集中できるレベル


【レベル2】

強い反応が起こり、反応におぼれそうになっている時の「完了」。

「今・ここ」で1~4のプロセスを完結するときの「反応」と「完了」のレベルです。

自分自身で「完了」しきれない場合は、信頼できる誰かに「クリアリング」の依頼をしてうけとってもらうと良いでしょう。

「クリアリング」とは今自分の心に引っかかっていることや気がかりなことを言葉で表現することです。

上記の例として挙げたのは、このレベルです。


【レベル3】

そのことが起こった時には「反応」におぼれたままだったのが、時間が経って後で気づいて改めて「完了」する場合です。時間差の「気づき」「完了」ですね。

出来事を思い出すと反応が甦ってきます。その事が起こった時の自己内会話・感情・身体的変化が同じように起きているのです。今それが起こってでもいるかのように再体験しています。

その時におすすめしたいのが「洞察」することです。

なぜ自分はこれほどまでに反応しているのだろうか。

どんなフレームがその反応を創っているのでしょうか。

そしてフレームに気づいたら、こう問いかけてみてください。

「それは例外なく本当だろうか?」


「あいつと話すといつもムカつく!」

「どうして、いつもこんなにムカつくんだろう」

「どんなフレームがあるんだろうか。自分の方が経験があるし正しいと考えているのかな」

「『あいつはマヌケだ』という決めつけのフレームがありそうだ」

「『あいつはマヌケだ』というフレームは例外なく本当なのだろうか」

「いや、時々いい意見も言う。次は『あいつはマヌケだ』のフレームを外して話してみようか」


このように洞察によって新しい可能性が生まれることがあります。


【レベル4】

遠い過去の出来事が心の傷のようにいつまでも残っていて、時々思い出しては反応し、落ち込んだり無駄な資源を使ってしまうことがあります。

遠い過去の事が未完了のまま残っているのです。

このような場合に「それはそれでいい」と、すぐに完了し次の行動に移っても良いのですが、根本から完了することを意図しても良いのです。

レベル4は、過去の未完了を完了するレベルのものです。

過去は戻ってきませんし物理的には変えられませんが、イメージの中で過去に行くことはできます。

過去に戻って、言えなかったこと、言わなかったことを言葉で表現します。そうすると、そのこと自体で「完了」が起こる事もありますし、その時に間違ったフレームを創ったことに気づくこともあります。

子供の時の自分と今の自分とは、ものの見方、考え方が大きく違うでしょう。

幼い頃の自分が創ったフレームは、今、大人の目で冷静に見ると「バカげている」かもしれません。しかしそのフレームを無意識に維持し続け、反応し、同じような行動を何度も何度も繰り返してきたかもしれません。

「なんで、いつもこうなるんだろう」と思いながら。

非合理で非効果的なフレームに気づくと、そのフレームを手放すことができます。

2日間のリーダーシップ研修ではイメージ瞑想を使って過去の未完了を完了していく実習がありますが、僕は34年前に参加者として参加した時にこの実習を体験し、母親との関係を劇的に改善することができました。

あの体験が無ければ現在の母との良い関係は築けなかったと思います。

先ほど「過去は変えられない」と言いましたが、実はフレームが変わると過去が変わって見えることがあります。

つまりその意味では「過去は変わる」のです。


ただ、あまりに状態が深刻でトラウマのようになってしまっていることがあるなら、それは医学的な処置が必要かもしれません。


「完了」のマスターは「人生」のマスターだと言います。

日々の生活すべてがトレーニングの場です。

トレーニングですからやった分だけ「完了」筋肉がつきます。

さぼると「完了」筋肉がおちます。

これは頭でわかる分野の事ではなく、やってみて体験して体得する分野の事です。

一緒に「完了」をトレーニングしていきましょう。

 
 
 

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