「在り方」が変わると「結果」が変わる
- 藤井 浩行
- 2019年10月6日
- 読了時間: 3分
10月1日に友人であるIさんを訪ねたところ、偶然にも共通の友人のNさんに会いました。お二人は歯医者さんで子弟の関係。 そこでNさんの悩みという名の課題を聴くことに。 「患者さんへの予防指導が上手くいっていないように思う。言うことを聞いてくれない」 「患者さんとのコミュニケーションが上手くとれない」 Nさんは、とてもまじめで一生懸命な人です。歯科医療の勉強にも熱心です。患者さんの歯の健康のために一生懸命です。 一生懸命だからこそ、どうにか積極的に予防してもらおうと患者さんを説得しているようです。

話を聴いていると、どうも説教のようになったり、「ねばならない」とフォース(強制の力)になったりしているようでした。 その結果、“患者さんが予防に積極的になる”“定期的にクリーニングに来る”という、彼の意図した結果が起こっていませんでした。 その話しぶりから「患者さんは専門家である自分の言うことを聞いてくれないダメな人」というメッセージが伝わってくるようでした。
そこで「在り方として、患者さんのことを信頼している?」と問いかけてみると、少し考えて「信頼はしていないかもしれません」と答えてくれました。 言葉には出さなくても、心のどこかに「患者さんは素人だ」「患者さんは知識がない不完全な人だ」「言ってもやってくれない人だ」というような思いがあったようです。
「信頼してくれない人の言うことを人は聞いてくれるかな?」と問いかけたら「耳は傾けないですね」という返答。 当然のことが結果として起こっていただけのようです。 Nさんは、何かに気づき、何かを決めたようでした。
二日後、別件でまたNさんと会う機会がありました。 すると「すごいことがありました。在り方が変わると、本当に結果がかわるんですね」と興奮気味に報告してくれるんです。 聞くところによると、この3年間診ている患者さんがいるとのこと。 Nさんのお父様も歯科医師なので、お父様の代から来てくれている年配の患者さんとのことでした。 その患者さんが、この3年間で初めて笑顔を見せて「ありがとう。助かりました」と言ってくれたことが嬉しかったんだそうです。
凄いことが起こったなと思い「何があったの?」と尋ねると、「信頼の在り方から接したんです」と言って話しをしてくれました。 「患者さんが色々と症状について訴えてきたんです。 いつも、痛みと関係ないことを、あそこも気になる、ここも気になると話が長くなり しばらく経っても治療に入れず、時間が押してしまうんです。 そのことにイライラしながら、内心、いつまで要領を得ない話をしてるんだろうと思っていました。 だから患者さんの話をしっかり聴いていなかったんだと思います。 今回は、信頼をしてしっかりと話を受け取りました」 「そして帰り際に段差があったので、自然に『気をつけてくださいね』と言えたんです」
患者さんの笑顔はその結果だったんですね。 患者さんとの信頼関係が形成された瞬間だったと思います。 そういった小さいことの積み重ねが、強い信頼関係を創っていくのだと思います。 「患者さんがメインテナンスに来てくれない」という結果は自分が創った、という立場に立ち、自分が変わることで、次に起こってくる結果を変えることができる。 Nさんの体験は、そのことを教えてくれているようです。
自分の「在り方」は何十年もかけて形成してきたものです。それを「変える」というのは、ある意味では「自分の生き方を壊す」ということです。 やるとコミットして実行したNさんだからこそ創った結果です。本当に素晴らしいですね。 小さな違いが大きな結果を創ります。 Nさんに「おめでとう!」と伝えました。
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